加害者が複数いる場合の損害賠償は誰に請求すればよいですか。

 

A

1 具体的事例

 

甲運転の自動車Aと乙運転の自動車Bが甲と乙の過失により衝突事故を起こし、歩行者丙が巻き込まれ負傷した例を考えます。

  事故は甲と乙の過失によって発生したのですから、甲も乙も丙に対して損害賠償責任を負担します。基本的には民法709条に基づきますが、甲、乙がそれぞれの自動車の保有者である場合には自賠法3条に基づきます。

 

 

2 共同不法行為責任(民法719条)

 

民法7191項前段は、「数人が、共同の不法行為によって他人に損害を加えたときは、各自が連帯してその損害を賠償する責任を負う。」と定めています。共同不法行為責任といわれるものです。

  各自が連帯してその損害を賠償する責任を負うとは、甲も乙も、丙の受けた損害全額(丙にも過失があるときは過失相殺した後の額となります。)について賠償責任を負うとの意味です。被害者保護のための条文で、丙は甲に対して全額請求しても、乙に対して全額請求してもよいのです。もちろん二重に損害賠償を受けることはできませんから、甲からの支払い、乙からの支払いをあわせて損害額が支払われたときは、それ以上賠償請求することはできません。

  共同不法行為については、加害者が意思を通じて(共謀して)することは要件ではありません。共謀して不法行為を行えば、当然共同不法行為となりますが、交通事故の場合でも適用されることからもわかるとおり、それぞれの行為が客観的にみて共同で加害行為を行ったと認められること(関連共同性)があればよいとされます。この共同性判断は、場所的近接性、時間的近接性などを総合して決することになります

 

 

3 保険給付について

甲、乙ともそれぞれの自賠責保険、任意保険から保険給付を受けられます。自賠責保険の被害者請求も、甲と乙の自賠責保険にすることができます。

  したがって、自賠責保険から支払いを受けられる限度額が通常の2倍となります。例えば、一つの自賠責保険であれば、傷害を負った場合の限度額は120万円ですが、加害者が2人であるとそれぞれの自賠責保険に対して請求できるため240万円が限度額となります。

 

 より詳しいことにつきましては、交通事故の実務に精通した弁護士にご相談ください。 

 

 

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